最初にチェック! 【病気の概要】
- 人を含めたすべての哺乳類が感染するウイルス病
- 発病するとほぼ100%死に至る
- 日本では近年発生していないが、防疫対策は重要
狂犬病は人を含めたすべての哺乳類が感染するウイルス病です。発病するとほぼ100%死に至る、極めて危険な人獣共通感染症(ズーノーシス)として知られています。
日本国内では1957年以降発生が確認されていませんが、世界中の多くの国で現在でも発生しています。狂犬病予防法によって、年1回の予防注射を行うことが義務づけられています。
さらに詳しく
原因
病原体は狂犬病ウイルスです。感染動物の唾液中にウイルスが排出され、咬傷によって他の動物に感染します。ウイルスは神経組織へ侵入し、脳や脊髄に達します。
狂犬病ウイルスは紫外線や加熱、アルコールなどによって比較的容易に失活します。
症状
潜伏期間といって発病前の期間を1週間から1年以上(平均1ヶ月程度)経過した後に発病します。
症状は主に神経症状です。過度の興奮状態になり、筋肉が震えたり涎を垂れ流したりします。麻痺症状も起こり、水や食べ物を飲み込むことができなくなったり、呼吸困難になったりします。
予防
近年は日本で狂犬病は発生していませんが、世界中の多くの国では現在でも発生しており、万が一の狂犬病の侵入に備えて防疫対策を疎かにすることはできません。
海外から日本へ犬や猫を連れてくる場合には、マイクロチップによる個体識別、狂犬病抗体検査など、検疫制度に則った手続きが必要になっています。
日本国内ではワクチンが犬に使用され、年1回の接種を受けさせることが狂犬病予防法によって飼い主に義務づけられています。接種できない理由がある場合は、獣医師が狂犬病予防注射猶予診断書を発行します。
実際の注射率は登録されている頭数だけで見ても7割程度です。ワクチンの接種は個体免疫を高めるとともに集団免疫を高めるためのものです。ワクチンは副作用の可能性もあり絶対に安全なものとは言えませんが、アレルギーや他の病気で接種ができないケースを除き、集団免疫を高めるためにもワクチンの接種を受けましょう。
その他
2006年、海外で犬に咬まれ、帰国後に発症した人の輸入感染症例がありました。しかし人から人へ感染することは通常ありません。